2016.04.05

ビットコインはモノか?お金か? 仮想通貨の課税議論

 「フィンテック(FinTech)」という言葉が昨今、メディアを賑わしている。金融(finance)と技術(technology)の融合を意味する造語で、金融の世界に革命をもたらすとも言われている。日本ではまだ馴染みが薄いかもしれないが、ビットコインのような仮想通貨は日本でも知られるようになった。

 

 2年前の国内大手取引所の破綻により仮想通貨にネガティブなイメージが付いてしまったが、世界的に見ると仮想通貨の利用者は着実に増えている。一日の取引件数が15万件(2015年10月末時点)、決済可能店舗が10万店(2015年9月末時点)に上り、その成長ぶりが窺える。

 

 日本では取引規模がまだ小さいが、存在感が増していることを受け、政府も新しい施策を打ち出している。そんな中、いま議論されているのが仮想通貨の課税の問題だ。

 

 現在のところ、ビットコインの売買やビットコインの決済利用を規制する法律はない。また、消費税法上もビットコインに係る取引について、特段の規定は設けられていない。そのため、ビットコインの譲渡に係る消費税上の取扱いは不透明な状況にある。

 

電子マネーとの差異

 

 ビットコインは、オンライン上でのみ流通する仮想の通貨である。貨幣や紙幣とは異なり、手に取ることはできず、電子的なデータとしてのみ存在することから、「仮想」又は「デジタル」通貨と呼ばれている。

 

 電子的なデータであるという点、決済に利用できるという点に着目し、EdyやSuicaなどの電子マネーと混同されることもあるが、ビットコインは電子マネーとは根本的に異なる。

 

 ビットコインは特定の発行者が存在せず、それ自体に価値を見出すユーザー同士で取引される電子的データである。他方、電子マネーは特定の発行者が発行した日本円、その他の法定通貨の派生物に過ぎない。

 

消費税法上の取扱い

 

 ビットコインを何らかの価値を有する「モノ」と見なせば、消費税法上の資産と評価できる。したがって、その譲渡は「資産の譲渡等」に該当すると考えられ、課税の対象となる。

 

 消費税法は、課税になじまなない一定の取引を非課税としている。通貨や小切手、手形等は、外国為替及び外国貿易法上の支払手段に該当し、消費税法上は非課税とされている。

 

 資金決算に関する法律上の前払式支払手段(電子マネーは通常、これに該当)についても、消費税法上は物品切手等に該当し、非課税とされる。

 

 ビットコインを決済手段としての「お金」と見なせば、課税の対象から外れるという考えも成り立つ。しかし、現行消費税法上は、ビットコインは非課税となる取引のいずれにも該当しないことから、ビットコインの譲渡が国内で行われた場合、消費税が課されると考えられる。

 

 ビットコインの現行消費税法上の課税関係は、以下のようになると考えられる。



法改正の動き

 

 現在、税法上の位置付けが明確でないビットコインも、ここに来て動きが見られる。3月4日、国会に提出された資金決済法の改正案がその一つだ。

 

 ビットコインがマネーロンダリングに利用されるという懸念を背景に、ビットコインを「仮想通貨」と定義し、取引所等の仮想通貨の売買や管理(例えば、ユーザーのビットコインのデータをクラウドで保管する等)を業として行う者を電子マネーの発行者と類似した規制対象とするものだ。

 

 改正案は、ビットコインの租税上の取扱いを直接規定するものではない。しかし、仮想通貨が法令上定義されることは、仮想通貨を消費税法非課税として取り扱うための解釈変更や、税制改正による仮想通貨に係る新たな非課税規定の創設への追い風になり得る。

 

 同時に、ビットコインを消費税法上非課税とするためには、その議論の前提となる仮想通貨への理解が必須だ。しかしながら、仮想通貨が電子マネーと混同されている現状に見られるように、その理解はなかなか進んでいない。

 

 また仮に進んだとしても、ビットコインの通用力はその価値を認識する者の間で共有される事実上のものであり、法律上の強制通用力を有する支払手段とは、消費税法上も取扱いに差異を設けるべきとの考え方も成り立たないわけではない。

 

 したがって、非課税としての取扱いが将来的に実現するかどうかは、未だ見通せない部分が多いといえよう。

 


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