2018.02.23

デジタルへ突き進む税務管理 最終回

 税務管理の分野で急速に広がるデジタル化。EYが発表したレポート「デジタルへ進む税務管理(Tax administration goes digital)」によると、そのグローバルな動きに共通点も少なくないが、国や地域によって違いもある。

 

 ラテンアメリカ諸国では、税務申告に「階層的」アプローチを導入し、税と会計データを「層」に分割しており、それぞれに独立したスケジュールやフォーマットで提出を求める。他方、ヨーロッパでは多くの国がSAF-T(特集「デジタルへ突き進む税務管理 第1回」参照)を導入している。

 

 経済協力開発機構(OECD)が開発したSAF-Tの目的は、複雑なデータを分かりやすいフォーマットに統一することにより、税務当局のチェックを効率的にする点にある。しかし実際のところ、SAF-Tは統一的スタンダードにはほど遠い。

 

 国によって異なるのは、データのフォーマットだけではない。提出のタイミングや頻度など異なる点も多く、企業はおびただしい量の業務を処理しなければならない。

 

デジタルに備える

 

 企業が税務管理のデジタル化への対応を検討する際、社内の税務・財務・ITチームは何をしなければならないのか?以下がヒントになる。

 

  • 準備の度合いを検証する
  • 自社の戦略を明確化する
  • 求められるデジタル要件をモニターする
  • データの質や完全性を考慮する
  • データ提出を簡素化する
  • 当局の調査に対応する
  • 維持と向上に努める

 

さらに、アクションを検討する際、4つの問いに答えるべきだ。

 

  •  自社の包括的なデジタル税務管理戦略は何か?
    地球規模で進む税務管理のデジタル化の現象をそれぞれの国レベルで対応しようとする企業もあるが、そのようなアプローチはリスクやコストが高い。多くの企業は標準化されたアプローチに急速に移行している。
  • 税務、IT、財務がどう連携すべきか?
    これらの部門はそれぞれデジタル税務管理において重要な役割を果たす。したがって、「誰が何の責任を負うか」という認識が社内で共有され、役割と責任が明確化されることが求められる。税務部門は、増加する調査をより限られたレスポンスタイムで対応しなければならない。
  • 税務当局が行う調査プロセスに対応する機能を構築できるか?
    各国の税務当局の審査基準は根本的に似ている部分が多く、例えば付加価値税(VAT)、物品サービス税(GST)データに対して行われる審査の4分の3までもがそうと言われている。審査では、おおまかに2つの要素をチェックしている。1つは、データの全体的質とフォーマット、もう1つは税会計の処理方法である。
  • デジタル調査に対する防御活動の準備はできているか?
    税務当局の調査がリアルタイムやそれに近いものになる中で、企業側のレスポンスもそうでなければならない。それは、税務部門のデジタル戦略に最適なリソースを配置することである。仮に問題が発生した場合、社内リソースは遅滞なく対応する態勢を取らなければならない。

 

未来はどういう姿?

 

 税務管理のデジタル化で企業に求められるのは、常に、完全な状態で対応できる体制を構築することだ。最新、正確、かつクオリティーチェックされたデータをオンデマンドでいつでも提出できるようにする。その頻度も毎月、四半期ごと、あるいは異なったスケジュールにも対応できる体制のことを言う。

 

 デジタル化によって企業にはよりスピーディーな税務申告や書類提出が求められ、データに対するガバナンスや質へのプレッシャーも高まっている。税務紛争プロフェッショナルの「デジタル対応」の重要だ。

 

 もちろん、これまでのように当局と良好な関係を維持することは当然だが、それは1つの側面にすぎない。「破壊的」かつ斬新なテクノロジーの開発者やそれを利用している納税者との連携も欠かせない。現在、進行している変化は巨大かつ劇的なものであり、企業にいま求められているのは多面的で多角的なデジタル戦略だ。


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