2017.11.30

EU、不正防止に向けた付加価値税改革案を発表

 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会は10月4日、付加価値税(VAT)制度の改革案を発表した。改革の中身は過去25年間で最大規模といわれ、年間500億ユーロ(約6.6兆円)とも試算されるVAT不正を防止することが期待される。

 

 EU域内の国境間取引におけるVATの徴収は、長年の懸案事項だった。単一市場であるEUのVAT制度は、加盟国によってバラバラであり、制度間の差異や「抜け穴」をついた不正が横行している。

 

 現行制度下では、物品やサービスの付加価値税は供給地の国(輸出国)で徴収されない。このため、悪意のある業者は、当該物品やサービスを消費地国(輸入国)で販売する際、VATを足した値段で売り、課税分を税務当局に納税しなければ、VAT分を不正取得できる。

 

 これを正すため、単一のEU VATエリア(Single EU VAT area)に移行し、「ワンストップ・ショップ」というコンセプトの下、徴税の簡素化を図る。

 

仕向地主義の採用

 

 今回の改革案では「仕向地」主義が採用され、VATの納付額は最終消費者が所在する加盟国の税率に基づき徴収される。VATは供給地国の税務当局によって徴収され、物品やサービスが最終的に消費される加盟国に移転される。

 

 例えば、フランスの酒造メーカーがポーランドの顧客にワインを販売する際、ポーランドのVAT税率に基づきVATがフランスで徴収され、徴収された当該VAT分はポーランドの税務当局に移転される。

 

 また、改革案ではEU域内の取引の促進と簡素化を図るため「認定課税事業者(CTP)」という制度が導入される。一定の基準を満たす信頼性のある納税者をCTPと認定し、CTP事業者はクロスボーダー取引のVAT申告、納付手続きにおける簡素化の恩恵を受けることができる。

 

 今回の改革案は、加盟国すべての合意が必要だが、不正防止の切り札と目されており、欧州委員会も合意に自信を示している。最終的なVAT制度の適用は、2022年となる予定。


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