2016.03.14

戦略的人事、日本では?

 戦略的人事がもたらすポジティブなインパクトは、企業の国籍を問わない。実際、ここ10年の間で、人事・組織面からビジネスのグローバル化を支援するため、人事諸制度の改革、赴任前研修の見直し、外国人幹部人材の育成、地域本社機能の強化、人材データベースの整備など人事部門の改革に大急ぎで取り組んできた日本企業は少なくない。

 

 しかし、世界のグローバル企業が戦略的人事で試行錯誤を続ける中、日本企業がさらに後れをとっているのは、数字の上でも明らかだ。2013年度の「Global Mobility Survey」調査結果を見ると、出向期間中の業績評価に関する質問に対して、世界の主要240社のうち62%が「正式な業績マネジメントが世界的に標準化されている」と答えた。しかし、調査に協力した日本企業のうち「標準化されている」と答えた割合はたった19%だった。

 

三国間異動とGEO

 

 EY税理士法人(日本地域をカバー)が2016年2月から実施しているGTM(グローバル・タレント・モビリティ、国際間人材異動)戦略に関する実態調査の第1回の結果によると、約8割の回答企業が「海外派遣者は増加又は多い」と答え、このうち約4割は日本から海外という「アウトバウンド」の動きのみならず、海外からの外国人の受け入れという「インバウンド」の増加や、日本本社を介さない「三国間異動」もあると答えている。

 

 日本本社と海外の二国間の移動であれば、これまでの専門知識や経験も日本本社に集約され、国内本社で管理できた。ところが、三国間異動を含めた複雑化した人事異動により、オペレーション効率やコスト管理、コンプライアンス(法令遵守)といった課題が生じる。

 

 EY税理士法人ピープル アドバイザリー サービス部門・パートナーの堀江徹氏は、「日本企業の人材マネジメントについて、必ずしも欧米企業のベストプラクティスが当てはまると考えているわけではないが」と前置きしながらも、ひとつの解決策として欧米企業の間で常識となっているGEO(Global Employment Organization=国際間人事管理組織)の導入を検討してはどうか、とアドバイスする。

 

 GEOは国際間人材異動に関する高い専門性をもった社内人材派遣・管理会社のような役割を果たす。



 企業間の競争がグローバル規模で激化する中、ビジネスの成功にはスピード感のある対応や人材配置の適材適所が成功の鍵となる。日本企業にとって旧態依然の人事制度を改め、戦略的人事を真剣に考える時期が来ているのかもしれない。


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