2016.04.22

世界はビッグデータで間接税の不正を防ぐ

 世界各国で厳しい財政状況が続く中、租税の重点が法人税や所得税といった直接税から、消費税・付加価値税などの間接税へとシフトしている。

 

 国税庁によると、消費税のような付加価値税を導入しているのは、全世界100以上の国や地域。税率は、20%を超える高負担高福祉国家のデンマーク、スウェーデンから、一桁台の日本や台湾と様々だが、税務当局の共通の課題は情報収集をいかに充実させるかだ。

 

 そこで、注目されているのが「ビッグデータ」の活用である。

 

 EYが2014年に実施した調査によると、調査対象86カ国のうち69カ国が税務監査に電子データによる情報収集を行っているという結果が出た。

 

ビッグデータで不正を防ぐ

 

 ビッグデータを活用することで、租税当局はコストを削減できるだけでなく、トレンドの分析やリスクの抽出により、将来の不正の芽を摘むこともできる。

 

 今後、納税者と税務当局が争う場合、争点の中心となるのは、ある特定の項目が課税されるべきか否かといった課税対象の論点ではなく、当局が保有するデータが納税者のデータと比べて正確か、より信頼性があるか、といったデータの質に移りつつあると指摘する専門家もいる。

 

 付加価値税の分野でも、税務当局は納税者のデータをより直接的に収集するシステムへ移行している。

 

 間接税の電子データ収集により、税務当局に集まる情報が膨大に増えている。前記EY調査によると、調査対象86カ国のうち取引データの提出を求める国はまだ23カ国だが、この数字も増加している。

 

 このような潮流は、個人や企業といった納税者にどのような意味を持つのだろうか。税務当局が直接的、あるいは第三者の外部ソースからより多くの情報を得られることにより、納税者は自らのデータをコントロールすることが難しくなりつつある、という側面がある。
 
ビッグデータの活用、日本では

 

 翻って日本。消費税の軽減税率導入が議論される中、政府はインボイス制度を採用する方向だ。インボイスは、取引した商品ごとに税率や税額が記載された伝票のことで、事業者が納める消費税を計算するときに使う。

 

 これまで日本の消費税は、3%から5%、8%と段階的に引き上げられてきたが、税率自体は単一のままだった。今回、軽減税率が導入されれば消費税率が複数存在することになり、事業者の事務負担は増える。インボイスの義務化も、事業者にとっては負担増だ。

 

 政府がインボイスの導入にこだわったのは、消費税の複数税率化を逆手に取る事業者による不正な納税を防ぐ必要があるからだ。インボイスは、税務調査の強力な情報源となり、消費税の捕捉を手助けすることになる。

 

 確かに、電子的情報収集による付加価値税課税の充実を図る「間接税先進国」のドイツやフランスに比べて、日本におけるビッグデータの活用はまだ遅れているかもしれない。

 

 しかし、「インボイス制度」に見られるように、間接税制の変化の波は日本にも押し寄せており、納税者も身構える時期に来ていると言えよう。


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