2017.11.02

衆院選で自民圧勝 2018年度税制改正議論が本格始動

 10月22日投開票の第48回衆議院選挙において、自民党が単独で過半数を大きく上回る284議席を獲得し、勝利した。連立を組む公明党と合わせて、総議席数の3分の2超を確保する圧勝であった。政権交代を訴えて消費増税の凍結も打ち出した希望の党は不振に終わり、今後の日本の政治・経済運営はこれまでと同様に安倍自民党政権によって担われる。衆院選での与党勝利を受けて、2018年度税制改正の議論も本格的に開始された。政府税制調査会における議論、各省庁と財務省主税局との調整、関係団体へのヒアリング、自民党税制調査会における最終調整などを経て、例年通り、12月中に自民党税制改正大綱が公表される予定。その後は、来年の通常国会における改正法案の提出、3月末までの可決成立が予想される。

 

 9月初旬までに各省庁の来年度税制改正要望は出そろっているが、現政権の継続が決定したため、安倍政権の重要課題である経済財政政策に寄与する税制改正項目の実現可能性が高まっている。

 

アベノミクス継続へ

 

 現在、安倍政権が推進している主要な政策課題は、「(人づくり革命を含む)働き方改革」とアベノミクスの成長戦略の一環である「生産性向上改革」である。前者における租税政策上の関連項目には、昨年度から引き続き検討されている「所得税改革」などが挙げられる。

 

 また、後者においては、今年度末で期限が切れる「所得拡大促進税制(法人税)」の適用期限延長が検討されており、内容についても、社員教育(人材投資)に積極的な企業に対する税優遇措置を強化する見直しが要望されている。加えて、生産性の向上と企業の賃上げの好循環を期待して、高い賃上げ率に対してはより高い税優遇を与えることも検討されている。

 

 もちろん、企業に高い賃上げを求めるのは「デフレ脱却」というアベノミクスの目的にも適うものである。中小企業に対しては、生産性向上と地域経済の活性化を目指して、中小企業の事業継承を税務面から支援する「事業承継税制」の抜本的な見直し(適用要件の緩和と税負担の更なる軽減)が検討されている。

 

財政健全化は先送り

 

 この他にも、「攻めの経営・投資」を強化するために、自社株や親会社の株式を対価とする株式公開買い付けである「自社株対価TOB」における株主課税の繰延や、事業ポートフォリオ転換の円滑化のための課税繰延措置が経済産業省から要望されている。これらは、企業に迅速かつ大胆な事業再編を促す契機になることであろう。

 

 なお、自民党は今回選挙公約として、2019年10月からの消費税率10%への引上げを法律に従って着実に行うことを掲げていたが、同時に増税で得られる増収分の一部を、国の借金の減額ではなく、教育の無償化等の施策に充てること(歳出拡大)にも言及している。

 

 事実上、日本の財政健全化目標である「20年度に基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化」は先送りされてしまったことになる。財政再建について、早期に目途をつけて世界から信任を得ることが日本にとっては必要であるはずだが、一抹の不安が残る。

 

※写真の出典:首相官邸ホームページ(http://www.kantei.go.jp/)


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