2018.11.30

一貫性が鍵となるグローバルにおける税務係争リスクの管理

 相互接続が高まるグローバルにおける税務環境では、税務当局間で情報が幅広く共有される。これに備えて、多国籍企業は何をすべきだろうか。

 

 一つの国・地域に提供された情報は直ちに他の国・地域とも共有され得ると言って良い。多国籍企業は、こうした情報共有のレベルに留意し、一国での行動が他国の状況に影響を及ぼしかねないという事実を認識する必要がある。近年ではアグレッシヴな課税執行やクロスボーダー取引への大規模な調査は珍しくない。経済協力開発機構(OECD)やEU、各国の税務当局が互いに協力し、企業の納税実態やクロスボーダー取引の情報を共有している。BEPS(税源侵食と利益移転)プロジェクトに対する注目が世界的に高まっており、新たな税制及び規制は増加している。

 

 税務情報の共有がかつてないスピードと広がりをもって進むなか、企業の税務リスク管理戦略の鍵となるのは一貫性である。また、税務当局は、従来の基準や構造に異議を申し立てる形で、過去の取引に対して現在の視点からの再調査を遡及的に実施している。

 

 世界の税務当局が電子的手法による納税者データの収集や分析を増やしていることも、一段と厳しい事態を招いている。税務当局はデータ分析エンジンを駆使して、矛盾点の発見、国・地域間や納税者間でのデータ比較、分析に基づく税務調査や賦課課税を行っている。こうした透明性の高い新たな税務の世界では、古いプロセスを保持していることにより、税務当局からの調査や制裁、当局との見解の相違を急増させるリスクを生じさせかねない。

 

 情報共有、リスク、税務係争解決に関するグローバルでの枠組みは、二国間から多国間の関係への移行が続いている。こうしたグローバルにおける税務環境でも一貫性は極めて重要であり、国別報告書(Country-by-Country Reports)の増加はその一例だ。企業は、新しいまたは改正された報告要件を注視し、提出資料の一貫性確保に努め、グローバルにおけるリスク管理手続に対してあらゆるルールの変更を反映させる必要がある。

 

 多国籍企業は自社グループ情報の場所、取扱者、アクセス権保有者、外部アドバイザーについてよく理解する必要があり、 それはグローバルにおける係争リスクの一元的な管理が鍵を握る。税務行政当局が相互連携を強めるにつれ、税務の世界における変化は一段と早くなり、係争リスクもさらに大きくなるだろう。税務行政の電子化は一段と進展し、公式・非公式な情報共有が増え、条約改定や紛争解決のための多国間プログラムは進化し続けるだろう。

 

 こうした問題について、一貫性ある戦略的な手法によって積極的に対応しようと考え始めている企業は、将来の係争管理に対してより良い準備が整っていると言える。こうした企業が採用し得る具体的な手段は次のとおりである。

 

  • 税務コンプライアンス、プランニング、税務当局とのやりとりに関する一貫性あるアプローチを定める税務戦略文書を策定する。
  • 税務コーポレートガバナンスの枠組みを確立し、企業の方針や手順を文書として定め、経営幹部や取締役会による税務リスク管理を規定する。
  • 現在進行中及び将来起こり得る税務係争をグローバルかつ戦略的なレベルで一貫管理するためのツールとプロセスを整備する。グローバルなコンプライアンスと報告の枠組みは、情報の一元管理によって、複数の国・地域にまたがる係争の全体像や、一つの国・地域における税務係争がグローバルな企業税務に及ぼし得る潜在的影響を明らかにすることができる。
  • 係争の解決あるいは訴訟提起に進む等の対処方法に係る判断要素を定めた計画を策定する。
  • さまざまな係争解決メカニズム(不服申立、調停、仲裁、訴訟、相互協議手続(MAP)の長所と短所を評価し、税務当局とのより良い関係構築に尽力する。

 

 Read our recent article, Consistency is key: Managing global tax controversy risk, in Bloomberg BNA (The Bureau of National Affairs, Inc.) and listen to the replay of our recent webcast for insights and practical information on what leading companies are doing to better manage tax controversy risk across their organizations.

 


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