2019.08.20

シャドウペイロールの五つの要点

 グローバルな人材モビリティの高まりが、より厳格なペイロール要件を満たす場合のリスクとは?

 

 従業員が海外赴任し、受け入れ国でその従業員を現地のペイロールに加えることが義務付けられる場合、シャドウペイロールとして知られるプロセスが生じることが多い。つまり、雇用主はペイロールプロセスを並行して行う必要がある。自国で従業員への支払いを継続する一方で、受け入れ国で税務申告義務を果たすための「シャドウペイロール」を行う。

 

増加の傾向

 

 シャドウペイロールは常に複雑であった。しかし今日では、シャドウペイロールが必要になる事例が増えている。現在では、人材の多くがグローバルに異動するだけでなく、誰が現地のペイロールに加わる必要があるかについて、受け入れ国側の要求がますます厳しくなっている。

 

 現地の税管轄区域は、課税の負担を雇用主に移すことにより、自らの運営コストを大幅に削減できることを認識している。そのため、年1回または四半期ごとの調整および支払プロセスではなく、税務当局は自らの取り分を、ペイロールを通じて自動的に源泉徴収することを要求している。つまり、受け入れ国は、ますます多くの労働者が現地のペイロールに早期に組み入れられることを望んでいる。

 

うまくいかない場合

 

 問題になってくるのは、モビリティがそれほど高まる中、より厳格なペイロール要件を満たす場合、そして企業が自社の人事異動に関する税の問題に十分な注意を払わない場合のリスクは何か、ということである。

 

 答えはたくさんある。主なリスクは罰金である。ある雇用主は、給与税の問題はそのうち解決できると単純に仮定し、短期から中期の国際的な任務を行う多数の従業員を派遣した。税務当局は、より詳細な調査を行い、当該の企業に対し、予想していたよりもかなり早期に、訪問しているスタッフを現地のペイロールに加える必要があると述べ、最後にかなりの罰金を科した。

 

 別の企業は、従業員が海外で働いている間、自国の社会保障を遅れずに支払うことを怠り、主たる従業員にとっては軽い頭痛ではすまなかった。

 

 さらに、過払いのリスクがある。私たちは、企業が自国と一時的に派遣された国の両方で、労働者の給与税を払う羽目になった多くの事例を見てきた。 多くの場合、過払いは回収できない。

 

正しい理解

 

 雇用主がシャドウペイロールの落とし穴を避けることができる方法がある。

 

  • 後れをとらない:

     すでに複雑な規則が絶えず進化している。その一方で、変更を知らないことは有効な防御ではない。つまり、コンプライアンスの欠如は罰金、またはそれより悪い結果につながる可能性がある。したがって、雇用主は、信頼に足る最新の情報源を確実に持っていて、必要に応じて説明できる準備態勢を整える必要がある。

     

  • グローバルポリシーを策定する:

     組織がこれらの問題を確実に理解し、次に、そのような赴任や出張が目前に迫っている、または計画中の時には連絡先を把握しておくようにする。雇用主が往々にして犯す大きな誤りは、様子見を決め込み、問題が発生した時にのみ対応することである。この判断の誤りは、高くつく可能性がある。国境を超えた赴任または出張が発生した場合に常にとるべき標準的アプローチを策定した方がはるかに良い。

     

  • 何が重要かを知る:

     さまざまな要因により、現地のペイロールに加える必要が生じる可能性がある。この従業員はどのような仕事をし、誰がその費用を負担しているのか?ホテルに滞在しているのか、それとも住居をリースもしくは購入したのか?こうした情報を定期的に把握することを学び、適切な場合には現地のペイロールおよび税務チームと共有して正しい判断を下すようにする。

     

  • 計画の変更に注意する:

     プロジェクトは予定より遅れたり、業務範囲が拡大したりすることがある。30日かからないと予想されていた出張が3~6カ月に変更される可能性もある。そのような場合には推移を追跡し、必要に応じて対応する準備が確実にできているようにする。

     

  • テクノロジーに投資する:

     グローバルモビリティが非常に高い時代のシャドウペイロールは、膨大な量のデータフローの中に複数の未確定要素を持つプロセスにつながる。そうした管理業務とコンプライアンスリスクが重要になる企業にとっては、サポートとしてソフトウェアを使用する時が来るであろう。

     

 

テクノロジーの幅広い活用

 

 そのようなソフトウェアはどれも非常に専門的なものとなるであろう。不可欠な機能には、強固なデータセキュリティが含まれる。私たちは繊細で厳重に管理された個人データを扱っているが、受け入れ国と自国の間の双方向の情報の流れが容易でなければならない。

 

 また、税額の算定を支援できるツールを見つけることは割に合う。つまり、システムは、現在の税額計算ロジックを備えている必要がある。シャドウペイロールのニーズにあまり精通していないかもしれない現地のペイロールチームを支援するためだ。その他の重要なツールには、「この人はオーバーステイの危険がある」、「この人は近いうちにペイロールに加える必要がある」などの警告を発することができるダッシュボードが含まれる。

 

 結局のところ、強固でデータが豊富なモビリティプロセスおよびツールを備えている企業が高度なデータ分析から大きな恩恵を受けることができる。そのような企業は複雑なコスト分析を行うことができ、グローバルな人的資本を最適化する上で非常に大きな効果を上げる。また、グローバルな人事異動に関連する税務上のリスクを心配することもほとんどない。行動すべき時は今なのだ。

 


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